Mr.Robot感想S1E9 「コピー」

 重大なネタバレ多く含みます。閲覧は自己責任で!

 S1完走済みorネタバレオーケーな方は☆白文字☆を反転してください。

 S2のネタバレになりそうなところは ★白文字★にしました。

 

【E9で起こったこと】

・Mr.Robot、エリオット宅を訪ねる。”答え”が欲しければ付いてこい、とエリオットを連れ出す。

・アンジェラ、AllSafeを退職。ダーリーンから連絡を受けエリオットを探しに行く。

・ヨアンナ、男の子を出産。タイレルを突き放す。

・ホワイトローズとの密会場所が火事になる。

・タイレル、CEOのプライスにクビを言い渡される。

・エリオット、Mr.Robotと昔の生家を訪れる。

・Mr.Robot、「ヤツらに俺を消させるな」と言い残し姿を消す。

・コルビー、アンジェラの実家を訪れる。Eコープへ勧誘する。

 

【登場人物】

・エリオット

 ワシントンタウンシップを訪れる。Mr.Robotは自分だと自覚する。

・エドワード・オルダーソン

 エリオットの父。Eコープで働いていたが解雇され個人店を経営。1995/2/28に白血病で亡くなる。

・Mr.Robot

 エドワードの姿をした、エリオットの幻覚。

・ダーリーン

 姿を消したエリオットを探しワシントンタウンシップを訪れる。

・アンジェラ

 AllSafeを辞める。ダーリーンと共にエリオットを探す。

・タイレル

 Eコープをクビになる。エリオットのもとを訪れる。

・テリー・コルビー

 アンジェラを訪ねる。アンジェラをEコープへ勧誘する。

・フィリップ・プライス

 EコープのCEO。スコット・ノウルズの続投とタイレルの解雇を決定する。

 

 1994年のエリオット父が小売店で働いている。”Mr.Robot”は彼の経営するお店の屋号だったんですね。 客の財布から金を盗んだエリオットを叱ることなく、「確かに悪いことをやったが、お前はいい子。アイツはクソ。」とその金で映画に誘うお父さん。こら(笑)(S1でMr.Robotと地下鉄で出会った時、「俺の親父(=エリオットの祖父?)は泥棒だった」とか言ってた気が。関係ある?)やり方が正しいかはともかくとして、エリオットを愛していたらしいことは分かる。この時には既に先が短いことを分かっていたんじゃないですかね。だからエリオットと楽しく過ごしたかった、とか…。

 

 2015年現在。エリオットの自宅で邂逅する二人。Mr.Robotに「なぜ言わなかった」「この3か月間は一体」と詰め寄るエリオット。この二人って出会ってから3か月だっけ?後で出てくるアンジェラのPCの時計を見ると5/9とあるんですけど…まあ、メタ的に言えばこの話が第9話だから『Mr.Robot』の放送が始まってから3か月くらいではあるね(笑)

 

 混乱するエリオットに対し、「精神科医や薬が脳みそにもやをかけ、不都合な記憶を忘れさせようとしている」「”連中に”コントロールされちまうぞ」と陰謀論を展開するMr.Robot。実際不都合な記憶を忘れたがっているのはエリオット自身で、クリスタ達は正常に戻してあげようとしてますがね。これは自分の存在を消させたくないRobot氏の甘言に聞こえますなあ。結局話はまとまらず、Mr.Robotはエリオットをある場所へ誘う。

 

 恋人と朝を過ごすギデオン。この恋人”ハリー”はギデオンがエリオット達を誘ったホームパーティーのシーンにも出てきました。気の急くギデオンをなだめ朝食を用意するハリーに「もう終わり。負け犬だ」と嘆くギデオン。

そんな彼に「僕は君のことが大好きで今死んでも幸せだ。これが負け?そう思う?」と優しく声をかけるハリー。

 

 いいヤツか…ッ!!

 

 正直者で善人なギデオンには、こんな素敵な恋人がいたんですね~~~。こいつら作中で一番の幸せカップルかもしれない。(というか妙にこじれてるカップルが多すぎる)幸せになり給え…。★…という願いが叶わなくて非常に残念である

 

 ナイヤルの事務所を訪ねるアンジェラ。AllSafeを辞職した、ここで働かせてくれというアンジェラに、ナイヤルは「生きがいを探す手伝いはできない」「あなたは私たちの仕事では役に立たない」と穏やかに拒否。★アンジェラがS2でナイヤルに対しやけに高圧的なのは、これが悔しかったってのもあるかも。あんたは間違ってたわね!と言いたくてたまらない、みたいな…(笑)★そらね、ナイヤルはアンジェラにとって大変な恩人になるわけだけど、何でもかんでも彼女に頼ろうってのは違うよね。人生相談はしてくれたけども…。

 

 落ち込んで事務所をあとにするアンジェラのもとに、ダーリーンから連絡。(929-555-0149の番号は前回の最後、エリオットが自室に帰ってきた後にもかかってきました)「誰なの」って電話取るとき言いましたけど旧知の仲なのにダーリーンと連絡先交換してないのか、ダーリーンはホワイトローズと接触するときスマホを車から投げ捨てられたので(笑)番号変えたのか、それともハッカーのたしなみとして同じ端末は長くは使わないのか…

 

 ダーリーンから「エリオットにキスされた。マジヤバい。探すの手伝って」と頼まれるアンジェラ。前回錯乱したエリオットと別れてから連絡がとれず、おそらく自宅にもいなかったであろう(Mr.Robotと出かけて行った)彼を心配し街中を探し回ったんだろうな。

 巨大ジオラマ(おそらくクイーンズ美術館。幼少のころアンジェラと家出をしてたどり着いた思い出の場所)の前で合流する2人。そこにもエリオットはいなかった。「これ以上は手伝えない」とダーリーンに告げるアンジェラ。自分自身が追い込まれてるし、20年間あのエリオットに付き合わされてきていいかげんうんざりなのかも。でもダーリーンの言う通り「何度も助けて貰った」んだから、と思わなくもない…(結局探すことになりますが)。

 

 逆に「なぜ(エリオットを)助けるの」とダーリーンに聞き返すアンジェラ。「(ダーリーンが)越すまでエリオットは普通だった」「なんで戻ってきたの」と投げかける。えっ、あのエリオットに”普通”の時が…?!★AllSafeに就職する前、ダーリーンと再会したころのエリオットはすでに職場で異常をきたして精神科通い

を余儀なくされていましたから、普通とはいいがたいと思うのですが…(笑)★そして決裂してしまう二人。もうちょっとだけ付き合ってあげてよアンジェラ~~。

 

 前回の終盤、刑事の追跡を躱せそうにないタイレルを守るため、陣痛を起こし病院に運び込まれたヨアンナ。無事男の子を出産。我が子をなでながら「15歳で産んだ子と似てる」と言う。ドレスを脱ぎ、すっぴんで「毎日忘れようとしている。ひどい母親よ」と告白するヨアンナ…。今までしたたかな策略家って印象が強かった彼女ですが、本質は母性溢れる温かみのある人だったんですかね。寄り添おうとするタイレルを拒否し「こんな父親はいらない」「家族でいたければ何とかするのよ」と命令。無責任に身ごもってしまったことを毎日後悔しやっと我が子を育てることができるヨアンナと、殺人を犯してしまったタイレル。今までは奥さんに支えられて何とかやってきましたけど、これからどうするんですかね。

 

 というわけで急ぎ出社するタイレルだったが、CEOのフィリップ・プライスがオフィスに来る。「お花をどうも」と礼を言うタイレルに、「アンワールだよ」と返す。アンワールはタイレルが以前 ♂ナンパ♂ をしてスマホをハッキングをした彼です。あの人CEOの秘書だったのかな。プライスがアンワールの名を出したので私は一瞬ヒヤッとしましたが、アンワール経由で不正にノウルズの情報を得ていたことはバレていない…のかな(笑)

 

 フィリップは単刀直入に「君は容疑者になっている」と切り出す。スコットの証言がもとだ、っていうけど、現場に残されているであろう証拠も刑事の前での態度もありますし、もしかしたらパーティー会場で2人でしゃべっているところをバーテンダーあたりに見られてるかもしれないしで、どう考えても捕まるのは時間の問題だと思われます。それこそ”悪魔コープパワー”で握りつぶすとかしない限りは。そして耐え切れず爆発するタイレルに「期待外れだ」と言い残し去るフィリップ。タイレルいよいよ危うい。

 

 「俺がどこにいたのか教えてやる」とエリオットを連れ出したMr.Robot。やってきたのは故郷のワシントンタウンシップ。エリオットの希望で彼の生家へ。今は別の家族が住んでいるらしいその家に侵入し(こら)、エリオットの部屋があった場所へ。今もそこは子供部屋になっている。突如Mr.Robotを窓際に追い詰めるエリオット。「自分を責めるな」と説くMr.Robotに「そうだ。親父にしたことが許せなくて、自分を責めてた。」と告白するエリオット。

 でも当時8歳ですよ?お父さんに病気の告白をされて、治療もしようとしないお父さんを心配し、お母さんに相談した。やったのはそれだけです。約束を破った裏切り行為だ、と言えなくもないけど、謝ろうとして抱き着いてきた子供を窓がぶち破れるくらい突き飛ばし以後口もきかない(E2より)とは、さすがにやりすぎでしょう。(死期を悟って多少錯乱していたのだとしても、仲直りはすべきでしたね)エリオットは気になるのかもしれませんが、そこまで後悔しなくてもいいのでは。まあ「あの時ああしなければ」という思いはどうにもなりませんか。

 というわけで「よし捨てよう」と決意したエリオットはMr.Robotを窓際からポイ。やったぜ。('ω')b

 

 AllSafeで誰かと電話し「ハニーポットの削除申請なんて送ってない」と焦るギデオン。エリオットの計画が実行される前に削除申請に気づいたらしい。担当者に確認すると「ウェリックさんに念押しを頂いてます」と返答が。昨夜Mr.Robotとタイレルが密会してたのはこれかな。ギデオンからハニーポットの話を聞かされ数時間後に削除申請が来たので、FSocietyのしわざだと気づいたタイレルはMr.Robotを(=エリオットを)呼び出した。エリオットがまだ何かやるつもりだということに思い当たり、ハニーポットの件について協力する代わりに計画を聞き出そうとするが、袖にされてしまった、と。

 

 実家に帰りコルビーに関するネットニュースを見るアンジェラ。そこへ父親がやってきて、「ダーリーンを見たぞ」と教えてくれる。心当たりがつきてついに故郷に戻ってきたらしい。エリオットの生家で再会したダーリーンは、「話さなきゃね、家族だもん」とアンジェラに歩み寄りを見せる。嬉しそうに彼女を抱き寄せるアンジェラ。やっぱ仲いいんじゃ~~ん♡ …にしても「話さなきゃね」って言いましたがダーリーン、結局エリオットと何やってるのかアンジェラに話してませんよね…(笑)★S2後半でアンジェラを計画に引き込むまでこの話は持ち越されてしまったような…?

 

 場面は変わって、傷ついたMr.Robotに肩を貸しながら墓地までやってきた2人。そこへ異変を察知し遠くから追いかけてくるダーリーンとアンジェラ。彼女らを恐れ、急ぎエリオットに何かを伝えようとするMr.Robot。 彼は

「早く言おうと思っていたが予想以上に展開が早まった」

「ヤツらに俺を消させるな」

と必死に訴える。そして

「俺はいつもそばにいる」

「二度と引き離させはしない」

「独りにはしない」

「愛してる」

とも。混乱するエリオットの前で力尽きるMr.Robotと、彼らのもとへ追いついたダーリーン達。彼女らにMr.Robotの姿は見えず、そこには”エドワード・オルダーソン”、エリオットの父の墓石があった。

 

 Mr.Robotの言っていた「俺がどこにいたのか」はここ。つまりMr.Robotはエリオットが生み出した亡父の幻覚で、現実には存在していなかった

 

 「Mr.Robotは俺だ」と自覚するエリオット。

であるならばFSocietyを始めたのも

リーダーであるMr.Robot = エリオット

になるはずだが、「始まりを覚えてる?」とダーリーンに聞かれたエリオットは呆然としている。★S2中盤まで思い出せなかったみたい

 

 NYに帰るエリオット達を見送り家に帰ってくるアンジェラ。しかし家にはなぜかコルビーが。アンジェラの度胸を褒め「高収入の仕事を世話できると思う」と提案するコルビー。就職先はもちろんEコープ。「ふざけてます?」「あなた人事に口出せる立場?」「魂胆は何?」と鼻で笑うアンジェラ。そらそう言うわ。★Eコープに損害を与える証言をするコルビーが「人事に口出せる立場ではない」ってのはその通りで、実際彼女をEコープに入れたがっていたのはプライスですかね。コルビーが多少アンジェラを買っているというは事実としても、アンジェラの入社は彼の発案ではないでしょう★しかしコルビーは「君のやってきたことが評価された」の一点張り。さらに「賠償金はしょせんはした金。訴訟用基金は賠償額の5倍ある」と、アンジェラの努力は結局Eコープには屁でもないことだ、と挑発する。それでもうんと言わないアンジェラに、「変化を起こしたいなら、中に入ってみるのも手だぞ」と諭す。

 コルビーに直接交渉を試みた際「金銭目的でないのならなぜこんな証言をするのか」と聞かれ、アンジェラは「あなたたちのような人の会議をつぶすため」と答えました。しかし全てを投げ打って世界を変えようとした彼女の挑戦は空振りに終わる。それに気づかされたアンジェラは打ちのめされ、1日しかない猶予の中で悩みます。自身と父親が大きな借金を背負っていて、IT業界での再就職は望めず、選択肢はほとんどないアンジェラ。どうなるかは目に見えてますけどね…。

 

 NYに帰ってきたエリオットたち。呆然自失のエリオットは「計画はやめるべきかもな」と気力激減。ダーリーンはとりあえず薬を飲ませようと(多分クリスタから処方されてるやつ。「俺は薬飲んでない、でもあなたもだ」って言ってました)外出する。そこへ入れ替わりに侵入してくるタイレル。うわっ不審者だ!!!

 ずっと家の前を張っていたというタイレル(ストーカーだ…!)。「黒幕は君なんだろ」「FSociety。サーバー。コルビー。オールセーフ。すべての共通点は君だ」と若干トンだ目でエリオットに詰め寄る。うわぁ………

 

 S2を9話まで視聴したにも関わらず未だに理解してないんですけど、タイレルはどこまで知ってて何を知らないんですかね?それぞれの事件(Eコープのハッキング、ハニーポットの削除申請、コルビーの逮捕)がエリオットまたはFSocietyの仕業であるってことはタイレルにとって既知の事実だし、FSociety = エリオットということもE1中盤(FBIとの会議)から遅くともE4(スティールマウンテンでエリオットと遭遇)までに気づいているはず。最後のオールセーフについては”一連の事件はAllSafeにつながっている。黒幕はAllSafe社員だ”の意か”先日のAllSafeのハッキングもお前の仕業か”って意味か分からないけど…。「黒幕はお前だ!」と言われたところで「いやそんなの随分前に気づいてたでしょ~何を今さら」って言いたくなるんですが…?  ”タイレルが知らないこと”は今回のラストシーンからして「Eコープのデータを消すという計画」のことだろうけど、それを婉曲に表現した「Eコープを解体せよ」って要求も随分前に犯行メッセージで出してるし、そんな驚くことかな…?

 

 ともかく。エリオットの部屋に居座ったタイレルはシャロンの絞殺を告白し、いつぞやのように手袋を嵌める。変なことしたらお前も〆るぞ!っていう威圧にしか見えない。一線を越えたやつはこわいなあ…。

 FSocietyのゲーセンにやってくる2人。何をしているのか聞かれ「暗号化だ」「悪魔コープの取引記録をアクセス不能にする」「完了したら暗号化キーは自動消去だ」と説明するエリオット。情報を”消す”のではなく”暗号化し解除できなくする”ことによって情報へアクセスできないようにするらしい。データ消さないんだ?

 

 さらに仲間について聞かれるが「俺だけ」と答えるエリオット。妹を危険にさらすわけにはいかないしタイレルと組むメリットもあんまりなさそうなので本当のことは言わなかったのかな。(この発言で「FSocietyメンバーもエリオットの幻覚だったのか?!」と思うかもしれませんが、Mr.Robotとダーリーン以外の3人もちゃんと存在しているとみていいと思います。エリオットのフィルターが介在しない完全な3人称視点の場面でたくさん出てくるし)まあMr.Robotも自分だったわけだし首謀者は”俺だけ”で間違いではない…。

 

 ポップコーンマシーンに目線を移す意味深なカットで終了。

 いやあ~ついにMr.Robotの正体がハッキリしましたね。だとしたら今までのあのシーンやこのシーンはどうなるんですかね?!ということについてはまた次回書きたいと思います。

 次回がS1最終話。